本ブログでは、私が見立てたタンパク質もどきのモノを紹介してきている。
特に、パズルやおもちゃが多いが、今回は私が長年研究しているシャペロニンGroELもどきの知恵の輪である。
(シャペロニンとはタンパク質のフォールディングを助けるタンパク質の一種だ。)
一種のシリンダーとなっていて、外側の2つのリング内に3つのパーツがぴったりと埋め込まれている。これをバラすので知恵の輪というわけだ(中身をはずすので「はずる」?)。
国産でもあり普通に入手できるパズルだが、デザインはフィンランドのパズル作家らしい。北欧らしくシンプルだが美しいフォルムである。
取り出すと、扁平な形で上下に少し出っ張りが見える。見本で置かれているのを見て、シャペロニンGroELとGroESからなる「フットボール」複合体に見えたわけだが、普通の人にはフットボールっぽく見えないかもしれない。
これをグイッと上下に引っ張てみよう。
と言っても、ダイキャスト製で硬いので画像処理で上下に延ばしてみた。
右の写真のように、ダブルリング構造となる。リング内のパーツが上下に少し丸まって突出しているので、見事に(?)フットボール型になる。
ちょっとしたモノがシャペロニンに見えてしまうのだ。
下に示したのが、フットボールGroELーGroES複合体の模式図と結晶構造だ。
実際のシャペロニンは、まだカタチができていないタンパク質(変性タンパク質)をGroELとGroESから形成される「空洞」に閉じ込めて、カタチ作り(フォールディング)をアシストする(上図の緑色の左側が変性タンパク質。丸くなっているのはフォールディング終わってカタチができたあと。シャペロニンは空洞内でフォールディングが最後まで進行することがわかっている)。
シャペロニンでは空洞が大事というわけだが、このパズルは内部までぎっしりと詰まっている点ではシャペロニンらしくない。
さて、パズルを解いてみる。解答はパッケージに入ってないが、ガチャガチャやっていると少しずつバラけてくる。
バラしていく途中。
最後、ばらけた状態。
もう一度組み立てて、上から撮った写真。
「シャペロニン」として話しを進めているが、三回対称のタンパク質複合体が外側のリングで取り囲まれているとも見える。これって、膜タンパク質を可溶性として扱う際に最近よく聞く
ナノディスクっぽいかもしれない。ナノディスクでは、膜タンパク質周囲の脂質をリング部分のタンパク質がつなぎ止めるのである。