前回のブログエントリーにてフランスの学生から立体パズルをもらったことを書いたばかりだが、帰国したその学生から、お礼ということで二つ気の利いたモノをもらった。
下に写っているのは、ルノワールの「
ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」のマグネット。オルセー美術館のショップで買い求めてくれたらしい。
この中心の貴婦人が「シャペロン」であるというのがシャペロンの解説の定番?である。最近では昨年ブレークスルー賞(賞金300万ドル!)を受賞した京大の森和俊さんが受賞時の記者会見でこの絵を使ってシャペロンのコンセプトを説明していた(→
記者会見のようすの写真)。
さて、本題はおなじみのキューブ型のパズルである。私にはタンパク質のフォールディングに見えて仕方が無いという代物で、このブログでも何回も登場してもらった。
キューブを崩すと、右のようになる。タンパク質になぞえれば完成した3×3×3の状態が「天然構造」、ほぐしたあとは「変性状態」である。
学部1年生向けの講義や高校生向けの出張講義などでもタンパク質の立体構造形成(フォールディング)を知ってもらうために大活躍してもらっている。
と書くと、このパズルはもういいよ、と思われるかもしれないが、ちょっと新しい点があった。
崩したあとに、完成させるのが難しいのである。
この手のパズルを入手したあと、研究室のみなが集まる部屋に置いておくのだが、このパズルは数日経っても学生たちが誰も解けない。
このパズルは完成型は3×3×3のキューブで同じように見えるが、実は経路がさまざまである。
この写真の左下が今回もらったパズルだが、それ以外に何種類ももっている。
右下は一番最初に入手したもので、今では目をつむっていても解ける。その右下のと、奥のカラフルな中の青色は同じ経路だが、他のは全部作りがちがう。
以前のブログエントリーに経路の写真を全部載せている(→
経路のちがうフォールディングパズル)。
今回いただいたパズルの作りを見てみよう。
一番下が、今回もらったパズルだ。その上の以前からあるのと違うのがわかるであろう(下から二番目と青色は同じ作り)。
なぜ難しいかというと、新しいのは可動部が多いからだ。
下から二番目と青色のを例に取ると、3つパーツが並んでいる部分が9ヶ所あるが、新しいのは、3ヶ所しかない。つまり2つ連続部が多いので可動部が多いのである。可動部が多いほど取り得る「変性状態」の場合の数が多くなるので、パズルとしての難しさが高まるのである。
タンパク質のフォールディングと通じるものがある。
この話しには続きがある。ちょっと確認しないといけない内容もあるので、確認が取れたら続編をいずれ書いてみたい。