Brainstring:ひもを絡めて元に戻すパズル
 未更新のままあっという間に半年が経っていた。

近傍でネタが見つかることが多いのは、お台場の日本科学未来館のミュージアムショップだ。たまたま行く機会があったので、ショップを覗いたら、見たことのないパズルが置いてあった。

 Brainstring

 まず、形がキューブ状というだけで、買いたくなるが、それだけでなく「string(ひも)」ということで、「タンパク質はアミノ酸がつながった “ひも” である」と事あるごとに言っている身としては、ますます気になるではないか。
 サンプルなど置いてなかったが、気になるモノは逃すといつ入手できるかわからないので、とりあえず購入。

 家で開封する。キューブ状のスケルトンの容器に、ボタンとボタンでつながった「ひも」(実際はゴム)が向かい合う面同士に渡してある。この「ひも」は各面に4つあるので、全体では4×3=12本となる。ここまでが初期状態。
 下にあるのが拡大写真で「ひも」が直線上に渡されているのがわかる。

 容器にはボタンを動かすためのスリットが入っていて、ボタンをあちこち動かすといずれ中の「ひも」が絡まるという仕組みだ。
 以下、ある程度絡めた図。 いくらでも絡まらせることができるが、元に戻らないとイヤなので、最初はほどほどに。


 そして、元に戻す、というパズルである。

 タンパク質が変性した状態で「ひも」が絡まって凝集体になるという表現をよく使っているので、このパズルで「ひも」が絡んだ状態は「凝集」状態になぞらえることができるかもしれない。すると、この絡んだ状態を元に戻すのは、脱凝集ということになる。
 とは言え、実際のタンパク質凝集で本当にポリペプチドの「ひも」が絡まっているかどうかは定かではない。
 それに、 このキューブ自体が、形を持ってフォールディングしたタンパク質っぽいので、内部で絡まっているのは凝集っぽくないかもしれない・・・。

<初学者の方へ>
 シャペロンはタンパク質の凝集を防いで、フォールディングを助けるのが基本だが、いったん絡まって凝集体を元に戻すシャペロンも存在する。Hsp104(バクテリアのClpB)というシャペロンはHsp70/Hsp40(バクテリアではDnaK/DnaJ)、ATPと共同で、凝集体をほぐして機能を回復させることができる。
 これは例えて言うなら、「ゆで卵を生卵に戻す」ということであり、にわかには信じがたいかもしれないが、そういうスーパーシャペロンが存在するのである。

<サプリメントのサプリメント>
このパズルの発売元のRecent Toys(http://www.recenttoys.com)に見覚えがあるな、とサイトを見たら、既に5,6種類は持っていた。だいたいはこのブログで紹介している。ツボにはまったパズルメーカーだ。