5/17, 18の土日に開催される東京科学大学すずかけサイエンスデイ(オープンキャンパス)でラボの研究紹介をします(両日ともに10:00-16:00)。
研究室公開は、S2棟5階のオープンスペースで研究内容のポスターとタンパク質にちなんだおもちゃやパズルの展示をするのが基本です。アポなしで来ていただいても研究内容に接したり、ラボメンバーらと話したりできる機会です。タンパク質研究に興味ある方、東京科学大学への大学・大学院進学などを検討している方などお気軽にお越し下さい。希望する方にはラボ内の見学も可能です。
大学・大学院説明会も開催されます(高校生・受験生向け、大学院生命理工学院説明会)。
たいへん喜ばしいことに基盤研究(S)に採択されました。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/12_kiban/ichiran_r7.html
課題名:新生ペプチド鎖が制御する翻訳動態・フォールディングの包括的解明
研究概要などはいずれ学振ウェブサイトで公表されますが、簡単に言えば、昨年度で終了した学術変革(A)「マルチファセット・プロテインズ」での成果を発展させた内容です。分担者は、岡山大の茶谷悠平准教授です。
昨年8月に引き続き、高校生研究インターンシップ(研究室体験)を3月27-28日に開催しました。(ST-AR Projectとの共催)。参加者は4名(1人は当日欠席)。
概ね以下のような内容です。
1日目:
1)タンパク質科学の基礎に関する田口による模擬講義:学部1年生向けのパズルやGFPを使ってフォールディングを教えたりする内容(例:「GFPやRFPのフォールディングを直接目で見る実験」、スネークキューブパズルで遊んでもらう、など
2)オンラインゲーム的なFolditでタンパク質フォールディングをバーチャルに体験
2日目:酵素活性測定とシャペロニンGroELによるフォールディング実験
兵庫県立大学 町田幸大、今高寛晃、近畿大学 永井義隆らとの共同研究成果です。
論文情報
掲載誌 : Journal of Biological Chemistry
論文タイトル :
Dissecting the mechanism of NOP56 GGCCUG repeat-associated non-AUG translation using cell-free translation systems.
著者 :
Mayuka Hasumi#, Hayato Ito#, Kodai Machida, Tatsuya Niwa, Tomoya Taminato, Yoshitaka Nagai, Hiroaki Imataka, Hideki Taguchi* (#: equally contributed authors)
DOI : https://doi.org/10.1016/j.jbc.2025.108360
岡山大学 茶谷悠平、東京大学 濡木理・伊藤弓弦らとの共同研究成果です。
論文情報
掲載誌 : Nature Communications volume 16, Article number: 2323 (2025)
論文タイトル :
A mini-hairpin shaped nascent peptide blocks translation termination by a distinct mechanism.
著者 :
Yushin Ando#, Akinao Kobo#, Tatsuya Niwa#, Ayako Yamakawa, Suzuna Konoma, Yuki Kobayashi, Osamu Nureki*, Hideki Taguchi*, Yuzuru Itoh* and Yuhei Chadani* (#: equally contributed authors)
DOI : https://doi.org/10.1038/s41467-025-57659-z
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東京科学大学HP Science Tokyoニュース掲載
2025年2月20日に開催された学士論文発表会(生命理工学院 物理化学系グループ(第1G))にて吉田孝太郎が最優秀賞、野口文睦が優秀賞を受賞しました
最優秀賞:吉田 孝太郎「small HspがmRNAと相互作用する分子機構の解明」
優秀賞:野口 文睦「塩基リピート関連非AUG翻訳の細胞内1分子イメージング」
論文情報
掲載誌 : Proc Natl Acad Sci USA
論文タイトル :
Seesaw protein: Design of a protein that adopts interconvertible alternative functional conformations and its dynamics.
著者 :
Toma Ikeda# , Tatsuya Nojima#, Souma Yamamoto , Ryusei Yamada , Tatsuya Niwa, Hiroki Konno, Hideki Taguchi* (#: equally contributed authors)
DOI : https://doi.org/10.1073/pnas.2412117122
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東京科学大学HP Science Tokyoニュース掲載
蛍光型と酵素型の間で可逆的に「変身」する シーソータンパク質を設計
幸保明直(D1)と池田刀麻(M2)が学振特別研究員に採択されました。幸保はDC2、この10月より博士課程に進学する池田はDC1です。
テーマは以下の通りです。
幸保明直:新生ポリペプチド鎖による翻訳アレスト発生メカニズムの体系的理解
池田刀麻:シーソータンパク質:立体構造を切り替えるタンパク質の設計と制御機構の解明
高校生インターンシップを8月26-27日に開催しました。蓮見さん(修士2年)が企画を提案してくれて、彼女の実行力とラボの学生たちのサポートで実現しました。(細胞制御工学研究センター木村研究室と合同開催)
概ね以下のような内容です。
1)タンパク質科学の基礎に関する田口による講義(学部1年生向けのパズルやGFPを使ってフォールディングを教えたりする内容)
2)オンラインゲーム的なFolditで「フォールディング」体験
3)学生たちの実験の見学(タンパク質の電気泳動など)
4)論文読み合わせ体験
5)細胞制御工学研究センターの他のラボの見学
本当は簡単な実験を実際に体験してもらいたかったのですが、大学の許可が必要で今回は間に合わないということで見学のみとしました。
参加者は田口ラボ2名、木村ラボ2名で、蓮見さんなど関係者の母校に声をかけて来てくれました。
来年度以降もできるだけ続けたいと思っています。
生命活動を司るあらゆるタンパク質はリボソームでアミノ酸が連結されて合成されます。このタンパク質合成は「翻訳」と呼ばれる生命のセントラルドグマにおける最終ステップであり、リボソームは遺伝子がコードするどんなアミノ酸配列でもタンパク質合成する必要があります。しかし、近年の研究から、リボソームには「苦手」なアミノ酸配列があることがわかってきました。例えば正電荷アミノ酸(リシン、アルギニン)の連続配列、あるいは負電荷に富むアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)を翻訳すると、リボソームはタンパク質合成を停滞、あるいは途中終了するなど翻訳異常が発生します(負電荷に富んだ配列での途中終了は私たちのラボの発見です Chadani et al Mol Cell 2017など→解説、東工大ニュース)。
本研究では、そのような「難翻訳」配列への対抗手段として翻訳伸長因子ABCFタンパク質が働いていることを新規に明らかにしました。大腸菌などに保持される4種のABCFタンパク質は、それぞれが異なるアミノ酸配列に起因する翻訳異常を緩和、予防する役割を持ち、多種多様なタンパク質の合成を可能にしているものと考えられます。
本成果の概要は東工大ニュースをご覧ください。
東工大ニュース「細胞内で発現しにくいタンパク質の合成を促進する翻訳因子を発見」
論文情報
掲載誌 :
Nucleic Acids Research
論文タイトル :
The ABCF proteins in Escherichia coli individually cope with “hard-to-translate” nascent peptide sequences.
著者 :
Yuhei Chadani*, Shun Yamanouchi, Eri Uemura, Kohei Yamasaki, Tatsuya Niwa, Toma Ikeda, Miku Kurihara, Wataru Iwasaki and Hideki Taguchi*
DOI :
https://doi.org/10.1093/nar/gkae309(フリーアクセス)
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