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茶谷悠平らの成果がEMBO Journalに掲載されました

生命を支えるタンパク質は全てリボソームで新生ポリペプチド鎖(新生鎖)の状態を経て合成されてきます。リボソームには〜30アミノ酸ほどの長さの新生鎖が通る狭いトンネルがあり、リボソームの構造が解明された当初はトンネル内壁は「テフロン」のようにつるつるで新生鎖がするすると伸びていくイメージがありました。しかし近年、新生鎖によっては状況に応じてリボソームを不安定化して翻訳を途中で終わらせる現象が見つかっています。リボソームはどんなアミノ酸配列でも翻訳するというのが生命のセントラルドグマの前提でもあります。

 

 

今回の成果で、リボソーム内トンネルの新生鎖の「長さ」と「大きさ」によって、リボソームの不安定化が免れて翻訳の連続生が保証されていることがわかりました。このメカニズムにより、リボソームは多種多様なアミノ酸配列のタンパク質を途切れることなく合成できる万能性を獲得し、今日に至るまでのタンパク質進化が可能になったものと考えられます。

 

The EMBO Journal 
Nascent polypeptide within the exit tunnel stabilizes the ribosome to counteract risky translation
(和訳:リボソームトンネル内の新生ポリペプチド鎖はリボソームを安定化して翻訳失敗のリスクを軽減する)
Yuhei Chadani*, Nobuyuki Sugata, Tatsuya Niwa, Yosuke Ito, Shintaro Iwasaki, Hideki Taguchi*
DOI :10.15252/embj.2021108299

 

本成果の概要は東工大ニュースで取り上げてもらいました。

東工大ニュース