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山川絢子、丹羽達也、茶谷悠平らの成果がNucleic Acids Research誌に掲載されました

細胞内の全てのタンパク質は、セントラルドグマにおける翻訳という過程を経て、リボソームで合成されます。近年、リボソームで合成途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)が、翻訳過程の単なる中間体であるだけでなく、さまざまな生命現象に関与することがわかってきています。また、タンパク質合成量の厳密な制御には、転写過程だけでなく翻訳過程での制御も重要であることも明らかになってきました。しかし、新生鎖の化学的な実体である細胞内の「ペプチジルtRNA」のみを網羅的に濃縮して検出・同定する一般的な方法はありませんでした。本論文では、ペプチジルtRNAがペプチドとRNAの両方の性質を持つことを利用した濃縮法である「PETEOS法」を考案しました。このPETEOS法により、濃縮したペプチジルtRNAを同定し、細胞内の翻訳状態の状態を大規模に捉えることを可能にしました。さらに応用例として、大腸菌の熱ショック応答などでの翻訳状況の変化を確認することにも成功しました。

 

本成果の概要は東工大ニュースをご覧ください。
→ 東工大ニュース「タンパク質合成途上の新生鎖を網羅的に検出する手法の開発」

 

論文情報
掲載誌 :
Nucleic Acids Research
論文タイトル :
A method to enrich polypeptidyl-tRNAs to capture snapshots of translation in the cell(和訳:細胞内のタンパク質翻訳のスナップショットを得るためのペプチジルtRNA濃縮手法の開発)
著者 :
Ayako Yamakawa, Tatsuya Niwa, Yuhei Chadani, Akinao Kobo and Hideki Taguchi
DOI: 10.1093/nar/gkac1276 (オープンアクセス)