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伊藤隼人らの成果がScientific Reports誌に掲載されました。

神経変性疾患に、これまでの分子生物学の常識から逸脱した翻訳が関わることがわかってきています。例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)になりやすい家系ではGGGGCCという塩基配列が異常に長く繰り返されていることが疾患に関与することがわかっています。そのような塩基リピートから典型的な開始コドンATGが無いにもかかわらず翻訳が起こる現象はRAN翻訳(Repeat-associated non-AUGの頭文字からRAN)と呼ばれ、神経変性疾患研究の新たなトピックスになっています。

本論文では、ヒト因子由来の再構成型翻訳系(ヒトPUREシステム)を使って、GGGGCCリピートによるRAN翻訳を再現しました。これにより、翻訳に必要な最低限の因子でRAN翻訳が起こること、細胞抽出液系での翻訳との比較などを行い、ALSに関わるRAN翻訳の分子機構の一端を解明しました。

本研究は、兵庫県立大学の町田幸大さん、今高寛晃さん、近畿大学の永井義隆らのグループとの共同研究の成果です。

論文情報

 Ito H, Machida K, Hasumi M, Ueyama M, Nagai Y, Imataka H and *Taguchi, H.

Reconstitution of C9orf72 (GGGGCC) repeat-associated non-AUG translation with purified components.

Sci Rep Dec 20;13(1):22826 (2023)

doi: 10.1038/s41598-023-50188-z. (オープンアクセス)