研究の概要と目標

生命はタンパク質の機能に依存しています。タンパク質の機能は基本的にその立体構造に依存しているので、タンパク質がどのようにできてきて、最終的に立体構造を形成(フォールディング)するのかは生命の理解には必須です。
 タンパク質はアミノ酸がつながった鎖(ヒモ)です。20種類のアミノ酸がどのように並んでヒモを作るかという設計図はDNAからなる遺伝子に書き込まれています。現代ではヒトを含む多くの生物がもつ遺伝子全体(ゲノム)が全て解明されていますが、タンパク質がどのようにフォールディングするのかについてはまだ理解が十分進んでいません。
 特にフォールディングはいつもすんなり進むわけではなく失敗して凝集体になったりします。脳内での特殊な構造の凝集体(アミロイドやプリオン)はアルツハイマー病などに代表される神経変性疾患と深く関わることが知られています。
 私たちの研究室では、細胞内での「タンパク質の一生」の研究を軸として、広くタンパク質科学のフロンティアを研究し、知られざるタンパク質の世界を開拓していきたいと考えています。

もう少し丁寧な説明が必要な方は別ページもご覧ください(→一般の方へ)。

 

目標

ゆりかごから墓場まで、細胞内でのタンパク質の一生(誕生、フォールディング、凝集、分解)を分子レベルで理解したい。細胞内でのタンパク質の挙動をありのままに観察したい。タンパク質の世界の拡がりを追究したい。

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      具体的な研究トピックスをタンパク質の一生になぞらえて以下に示しました。どれも少しずつつながっているのでこれらが融合したテーマもあります。

 

これらの研究から派生した科研費の研究領域の代表としても活動しています。

  • 科研費新学術領域研究「新生鎖の生物学」→領域HP(2014ー2018年度:領域代表 田口 英樹)
  • 科研費学術変革領域研究 (A)「マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界」→領域HP(2020ー2024年度:領域代表 田口 英樹)

 

アプローチ「新しいアイディア・新しい材料・新しい方法」

生化学を基本としたタンパク質科学をベースとしながら、目標に達するために柔軟に新しい材料・新しい手法を取り入れています。

■生化学(精製タンパク質を用いての機能解析)
■生物物理学(蛍光1分子イメージング、蛍光相関分光法など)
■遺伝学(大腸菌、出芽酵母)
■大規模解析(質量分析を用いたプロテオミクス→細胞制御工学研究センターの設備共用ページへ)

主なモデル生物

■大腸菌
■出芽酵母

国内外との共同研究も積極的に進めています。